• ホーム
  • コラム
  • 「答える人」のホンネ~宿泊者アンケート意識調査リポート 前編

  • アンケート
  • ノウハウ
  • ホテル
  • 旅館
  • 独自調査
  • 顧客心理
  • 顧客満足度

「答える人」のホンネ~宿泊者アンケート意識調査リポート 前編

"アンケートのアンケート"

顧客満足度の向上のファーストステップは「お客様の声」を集めること。

そして宿泊客様の「声」を集めるための最重要ツールは宿泊者アンケートです。
でも、ちょっと想像してみてください。

回答する人たちの姿は浮かびますか?
どんな人が、どんな気持ちで回答してくださっているのでしょう?

改めて考えてみると「答える方の気持ち」を知る機会って、意外と少ないですよね。

そこでクリアンでは2023年1月に「宿泊者アンケートの意識調査」を行いました。
実施してみてびっくり。意外な事実がいくつも出てきたんです。

今回は、アンケートづくりの役に立ちそうな「新発見」を前後編に分けてお届けします。

アンケートに回答している人(顔は見えない)


「○割」の人はアンケート未経験だった

まずはこちらのグラフをご覧ください。

宿泊者アンケート回答頻度集計:毎回7% しばしば12% ごくたまに22% 回答したことがない59%



「毎回」「しばしば」の合計は約2割です。
そして「回答したことがない」という人が約6割です。

宿泊者アンケートの結果は、「お客様の総意」のように考えがち。
でも実はたった2割の人の意見だったんです。

もちろん全員がアンケートに回答するなんて、現実的ではありません。
仮に回収率が高くなくとも、全属性(※年代や性別など)から偏りなくピックアップできていれば、問題ありません。

では、果たしてそうなっているでしょうか?
試しに、年代別の内訳を見てみましょう。

前述グラフの年代別内訳。20代では「回答したことはない」が少なく(35%)、30代と40代では「回答したことはない」が多い(88%、85%)。

ご覧のように30代、40代では8~9割が「回答したことはない」と答えています。
これほど年代ごとの偏りがあるなんて、ちょっと意外じゃありませんか?

回答者が偏っているということは、すなわちアンケートで得られる結果も偏っている可能性があるんです。

ではどうすればよいでしょう?

以下のような対策が考えられます。

  1. アンケートで年代を尋ねる設問を作る
  2. 長期間アンケートを取り、年代別にならす


こうすることで、各世代に偏りのない結果を得ることができます。


アンケートはポジティブ意見の宝庫だった

次に、こちらのグラフをご覧ください。

回答者タイプの集計結果グラフ:ファンタイプ32%、中立タイプ54%、批評家タイプ15%

グラフ「ポジティブ意見とネガティブ的意見はどちらを記入することが多いか」:ポジティブ49%、どちらとも言えない27%、ネガティブ24%。

「ファンタイプ」は「批評家タイプ」の約2倍です。
そして「ポジティブな意見」は「ネガティブな意見」の約2倍書かれています。

宿泊アンケートって、集めれば集めるほど「ネガティブな意見」が増えると思っていませんか?
実は、逆なんです。

多くの回答者はファンタイプ。
そしてポジティブな意見の方がはるかに多く記入されているんです。

怖がらずにどんどん回収していきましょう。

お褒めの言葉は従業員の方々のモチベーションアップにもつながります。
積極的にシェアしていきたいですね。

でも逆に改善点を発見したい場合は、ネガティブ意見がたくさん欲しくなりますよね。
そんなときは「質問の仕方」を工夫していく必要があります。

参考:アンケート設計士の考えた「すごい質問」
※ネガティブコメントの上手な集め方について書いています。


「回答して良かった」と思ってもらうために

私たちは、心地よく回答していただくことも重要だと考えています。
そこで、こんなことも聞いてみました。

「回答して良かった」と思えるのはどんなときですか?という設問の集計結果。1位は「回収の際、お礼を言われたとき」。2位は「次回利用時、問題が改善されていたとき」。3位はお礼のメールが届いたとき。

  • 回収時のお礼
  • 次回問題が解決されていた
  • 後日のお礼(メール)


これらが「良かった」と思ってもらえる要素の上位ベスト3です。

主催者にとってアンケートは、回収して終わりではありません。
集計や分析、その後の行動につなげる必要がありますからね。

そして回答者にとってもまた、提出して終わりではないことがわかります。
自分が書いた意見が役に立ったのかどうか、気になるものですからね。

アンケートは両者にとって「事後」が大切なんです。


途中離脱の理由、堂々の1位は

次はこんなグラフをご覧ください。

「途中で回答をやめてしまったことはありますか?」の集計結果。ある46%ない54%

途中離脱の理由の集計結果。19人中13人が「質問数が多すぎた」と回答している。

アンケート回答を途中でやめたことのある人は半数近くに上ります。
そして19人中13人が理由として挙げているのが「質問数が多すぎた」です。

更に、何問までなら回答する気になれるかを尋ねました。

「選択式回答で答える気になれるのは何問までですか?」10問が最多の17票。
選択式で答える気になれるのは10問が最多。
年齢や性別を尋ねる属性質問を入れても12~13問が限度でしょう。

主催する側としては、宿泊客様に聞きたいことはたくさんあります。
でも設問が多すぎると、そもそも回収できない可能性が高まってしまうんです。


後編へ続く…

さて、ここまで見てきていかがでしょうか。

「知らなかったこと」がかなりあったのではないでしょうか。
実を言うと、宿泊者アンケートを専門とする私たちにとっても意外なことばかりでした。

よりより宿泊者アンケートを作るためには、回答者の気持ちを知ることがなによりも大切です。
心地よく回答でき、意味のあるデータが取れるアンケートを作っていきたいですね。

後編では「アンケートに一度も回答したことのない人」のホンネを探っていきます。
後編は2月下旬公開予定です。ご期待ください。