旅の謎解き-誰と行くかで宿泊費単価が変わる?
宿泊費単価とは
今回のテーマは宿泊費単価です。
宿泊業界の方には「釈迦に説法」になってしまいますが、宿泊費単価とは「1泊あたりの宿泊費用を人数で割った値」です。
つまり「1人が1泊にいくら使うか」のことですね。
誰と行くとき高い宿?
ここに、ちょっと興味深いデータがあります。
以下は2022年 観光庁の「旅行・観光消費動向調査」の結果を、クリアンがビジュアル化したものです。

同行者別の宿泊費単価を比較したグラフ。
これを見てみると「一人旅」「同僚との宿泊」「友人との宿泊」と比べて圧倒的に単価が上がるのが「夫婦・パートナーとの宿泊」そして「家族・親族との宿泊」でした。
同行者が誰であるかによって、これほどまでに差が出るというのはなかなか面白いデータですね。
ではなぜこうした傾向になるのか。
ここでちょっと考察してみましょう。
宿泊体験と観光体験
ポイントは「宿泊体験」と「観光体験」の重視バランスであると考えられます。
一人旅や同僚・友人との旅行というものをイメージしてみてください。
「お宿でゆったり」というよりは…
「次はあそこに行こう」
「その後はあの店に寄ってそれから」
こんなふうに観光名所を次々と渡り歩く映像が浮かびませんか?
つまり「アクティブに動いて楽しむ」が主な目的になりがちなんです。
「宿泊体験」よりも「観光体験」にお金を使う傾向にある、と考えられるかもしれません。
これに対して夫婦や家族では「いい宿に泊まってゆったりと過ごす」というイメージが膨らみます。
「どこに行く」「何をする」というよりは「特別な場所での時間を共有する」ということが目的になっているのではないでしょうか。
夫婦、カップル、あるいは家族団らんで
「リラックスできるいい宿だね」
と温泉を満喫したり庭を見て回ったりという映像が浮かびますよね。
データとコンセプトと。
もちろん個人差や好みはありますが、データから考察するにおおむね上のような傾向があると分析できます。
この考察を踏まえた上で、たとえば「一人旅向けのラグジュアリな宿」というコンセプトについて考えてみると、どうでしょう?
一人旅の宿泊費単価がさほど高くないことからすると、やや尖ったコンセプトであると言えます。
尖っているというのは、言い換えれば先進的であるということで、それ自体がまずいわけではありません。
あえてそこに独自性を見出すという方針もきっとあることでしょう。
大事なのは、そうしたコンセプトを、データに基づいて意図的(自覚的)に設計しているかどうか、という点です。
たまたま思いついただけのコンセプトでは、成功するかどうかも運次第になってしまいますからね。
コンセプト作りにも、新サービスの創出にも、データを集めて分析・活用することがとても大切。
何かを作り出す時は、根拠となるデータを積極的に集めていきたいですね。
これからも、興味深いデータをわかりやすいグラフでご紹介していく予定です。
皆様のお宿作りのご参考になれば幸いです。