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復活のインバウンド観光-ChatGPTと共に次のステップへ

2023年 観光業界の最新トレンド

観光トレンド画像


時が経つのは早いもので、2023年も下半期に突入しました。
2023年7月。現時点での観光業界の最新トレンドは以下の通りです。

  • サステナビリティ意識の高まり
  • デジタル化の一途
  • 体験型観光
  • インバウンド観光の復活
  • 地方創生の動き

サステナビリティ意識の高まり

近年、世界中でサステナビリティへの意識が高まっています。
観光業界もその例に漏れず、環境に配慮した取り組みが求められるようになっています。
たとえば、ホテルやレストランでは、エネルギー効率の向上やリサイクルの推進などの取り組みを続々と始めました。
また観光地では、自然環境を保護するための取り組みも積極的に行われています。
 

デジタル化の一途

デジタル技術の進展は、観光業界にも大きな影響を与えて始めています。
たとえばオンライン旅行予約サイトの充実。
あるいはスマートフォンやタブレット端末を活用した観光情報の提供など。
さらにはバーチャルツアーやドローンを使った観光体験など、次々と新しい観光サービスが生まれています。

体験型観光

体験型観光とは、観光客がその場所ならではの体験をすることができる観光形態です。
たとえば、農業体験や漁業体験、伝統工芸体験などがその代表例です。
都会の日常とはかけ離れた様々な体験型観光が各地で提供されています。
「百聞は一見にしかず」
実際に見て更に体験もできるこの形態は、観光客の心に深い印象を残し、いつまでも色褪せない思い出作りに貢献しています。

 

インバウンド観光の復活

新型コロナウイルスの猛威が一段落し、インバウンド観光が拡大し始めています。
もともと海外から人気の高い日本古来の文化や歴史的建造物に加え、ジャパニメーション人気による聖地巡礼観光
コロナ禍で抑え込まれていた日本観光への「熱」が、ここに来て一気に高まりを見せています。

 

地方創生の動き

地方創生とは、地方の活性化を目的とした取り組みのことです。
様々な側面のある観光業ですが、地方創生というのも重要な役割の1つです。
観光における地方創生の取り組みでもっとも重要なのは「観光客が地方に訪れる理由」を作り出すことです。
たとえば、自然や食などの魅力を活かした観光地づくり
あるいは、その土地独特の歴史や文化を間近で見られる観光コンテンツの開発などが盛んに行われています。

 

ここまで5つのトレンドをまずは一気にご紹介しました。
これらのトレンドは、観光業界の今後の成長に大きな影響を与えると考えられます。
観光業界は、これらのトレンドを的確に捉え、新たなサービスの開発や提供に取り組んでいくことが大切ですね。

今回は、これらの中で「インバウンド観光の復活」に焦点を当てて深掘りしてみましょう。


データでみるインバウンド

まずは、外国人観光客数の推移について見ていきます。

2019年。ここ日本には、年間で過去最高の3,188万人の外国人観光客が訪れました。
しかしその翌年(2020年)。411万人まで減少してしまいました。
もちろん、新型コロナウイルスの影響です。
それから3年以上冬の時代が続きます。

そして2023年。
今、感染症対策の取り組みとワクチン接種の進行により、観光業界は再び息を吹き返しつつあります。

世界は未曾有のパンデミック、コロナ禍を経て、まさに新たなスタートを切ろうとしているところです。
日本の観光業に目を向けてみると…
国内旅行の回復。
さらにはインバウンド観光さえも明確な復活の兆しが見えてきました(下図)。

 訪日外国人観光客の推移

※数値の出典は「日本政府観光局:訪日外客統計」、グラフはクリアンが作成

 

 

インバウンド観光の復活と課題

さて、長かった冬の時代を乗り越え、海外からの訪日旅行者が再び日本に興味を示し始めています。

  • 茶道、武道、着物、歌舞伎などの日本文化
  • 日本各地、四季おりおりの美しい風景
  • 「鬼滅の刃」「エヴァンゲリオン」など人気アニメの聖地巡礼
  • 寿司、天ぷら、お好み焼きなど世界的に人気の高い日本食
  • 京都の寺院や原爆ドームなどの歴史的建造物


こうした日本の魅力が観光の動機になっていることはもちろん、日本が感染症対策において示した高いリスク管理能力も、訪日旅行の後押しとなっていることでしょう。
また、円安による旅行中の費用の割安感も外国人旅行客にとって人気の理由です。

インバウンド観光の復活は、日本の観光業界に潤いをもたらすことは間違いありませんね。

ただしその反面、新たな課題も生まれています。
その中の1つが、外国人観光客とのコミュニケーションです。

言語の壁が、観光体験の質を大きく左右する要因となっているんです。

日本の魅力

 

 

実は増えている個別宿泊

元々外国人観光客の多い大型ホテルは既に多言語対応が済んでいます。
今あえて「新たな課題」というほどではありませんよね。
ここで考えてみたいのは、多言語対応が困難であった小規模な宿泊施設です。

実はここ最近、訪日外国人観光客の間で、小さな旅館や民泊を利用するケースが増えているようなんです。

ひと昔前は、団体ツアーを利用し、ホテルに宿泊する旅行者が主流でした。
でも今日では、SNSやウェブサイトを利用して、自分自身で情報収集し個人旅行を計画する人たちも珍しくありません。

彼らは、従来人気のあったホテルだけではなく、旅館や民泊を利用することにも抵抗感がありません。
その理由としては、日本の独特な文化、例えば「畳」や「和食」などをより深く体験できるためです。
私たち日本人が「素朴」と感じる要素に、日本特有の「エキゾチックさ」を感じてくださる、というわけです。

「当館は日本人向けの旅館。だからインバウンドは関係ない」

そうした従来の常識は、塗り替えられつつあるようです。
今や外国人観光客の宿泊案件は、どんな宿泊施設にも発生しうることなんです。

そして、いざ外国のお客様を迎え入れてみると、思いがけない問題が発生しがちです。

  • 温泉の入り方がわからない
  • 備品の持ち帰り
  • マナーを知らない事による他の宿泊客とのトラブル


これはもちろん、インバウンドのお客様が悪いわけではなく、単に文化が異なることによるすれ違いが原因であることも多々あります。
せっかくはるばる遠くから来ていただいたお客様には、心地よい宿泊体験をしていただきたいものですよね。

上記のような「知っておいてほしいこと」を上手に伝えるには、多言語対応が必須です。

また多言語対応することで、宿泊の快適さが向上するだけでなく、日本の文化を知ること自体が「異文化体験」としての価値を持つことも期待できます。

外国人観光客イメージ


ChatGPTで作るドイツ語版「温泉の入り方」

多言語対応と言っても、スタッフ全員がバイリンガルやトリリンガルになる必要はありません。
たとえば前述したトラブルの防止程度であれば、あらかじめ多言語対応のポスターを準備するだけでも十分です。
試しに「温泉の入り方」についてのポスター作成を考えてみましょう。

ちょうど、前回のコラムで生成AIの活用についてお話ししたばかりなので、今回はChatGPTを活用した例をご紹介します。

 

【STEP1 注意事項の生成】

まずはChatGPTにシンプルにお願いしてみましょう。

アイコン自分

外国旅行客へ「温泉の入り方」のマナーを注意事項として伝えたい。上手にまとめて。

 

アイコンGPT

訪日外国人観光客の皆さまへ、

日本の温泉は、豊富な自然と心地良い温まり方が特徴で、体験する価値があります。ただし、全ての人が快適に利用できるよう、いくつかのマナーや注意点があります。

1. 体を洗う: 温泉に入る前には、必ず洗い場で全身を洗ってから入浴してください。これは、他の人も利用する共有のお風呂を清潔に保つためです。

2. 洗い場の利用: 洗い場で身体を洗う際は、シャワーの水が隣の人にかからないように注意してください。また、使用後はきちんと片付け、次の人が使いやすい状態にしておくのがマナーです。

3. 浴衣やタオル: お風呂には浴衣や大きなタオルを持ち込まないでください。小さなタオルは持ち込んでも大丈夫ですが、その場合でもお湯の中に入れないようにしてください。

4. 静寂を守る: 温泉は静かな空間です。大きな声で話したり、騒いだりするのは避けましょう。静寂を守ることで、皆さんがリラックスできる空間を作ることができます。

5. 健康状態を確認する: 温泉の温度は体に負担をかけることがあります。具合が悪くなったらすぐに出て休むようにしてください。また、健康状態によっては医師のアドバイスを得ることをお勧めします。

以上の注意事項を守ることで、温泉を存分に楽しみ、リラックスすることができます。みなさんが素晴らしい温泉体験をお楽しみいただけますように。
いかがでしょう。
なかなかいい感じにできたと思いませんか?


【STEP2 ドイツ語への翻訳】

ちなみにChatGPTに限らず、生成AIで作った文章は「査読」の必要があります。
AIが作った文章がいつも完璧とは限らないため、人間の目で最終確認をすることがとても大切なんです。

今回の文章は問題なさそうなので、このまま翻訳してもらいましょう。
「ドイツからの旅行客の予約」が入っていると想定して、「ドイツ語」に翻訳してみます。

アイコン自分
これをドイツ語に翻訳して


アイコンGPT
Liebe ausländische Touristen,

Die japanischen Onsen (Heißquellen) sind bekannt für ihre reichhaltige Natur und angenehme Wärme. Es lohnt sich auf jeden Fall, sie zu erleben. Damit jedoch alle Besucher sie bequem nutzen können, gibt es einige Regeln und Hinweise, die Sie beachten sollten.

1. Reinigen Sie Ihren Körper: Bevor Sie in den Onsen eintauchen, waschen Sie bitte Ihren gesamten Körper in den Waschbereichen. Dies dient dazu, das gemeinsam genutzte Bad sauber zu halten.

2. Verwendung des Waschplatzes: Achten Sie beim Waschen Ihres Körpers darauf, dass das Duschwasser nicht auf die Person neben Ihnen spritzt. Nach Gebrauch ist es eine gute Sitte, aufzuräumen und den Platz so zu hinterlassen, dass die nächste Person ihn problemlos nutzen kann.

3. Bademantel und Handtuch: Bitte bringen Sie keine Bademäntel oder großen Handtücher ins Bad. Sie können zwar ein kleines Handtuch mitnehmen, aber bitte legen Sie es nicht ins Wasser.

4. Die Stille bewahren: Ein Onsen ist ein ruhiger Ort. Bitte vermeiden Sie lautes Reden oder Lärm. Wenn Sie die Stille bewahren, können alle Besucher entspannen.

5. Überprüfen Sie Ihren Gesundheitszustand: Die Temperatur des Onsen kann belastend für den Körper sein. Wenn Sie sich unwohl fühlen, sollten Sie sofort aus dem Onsen aussteigen und sich ausruhen. Je nach Ihrem Gesundheitszustand kann es ratsam sein, den Rat eines Arztes einzuholen.

Wenn Sie diese Hinweise befolgen, können Sie den Onsen in vollen Zügen genießen und entspannen. Wir wünschen Ihnen ein wunderbares Onsen-Erlebnis.


できました。


【STEP3 翻訳精度のチェック】

ここで考えたいのが、「翻訳精度」についてです。

本当にちゃんとしたドイツ語になっているのでしょうか?

身近にドイツ語がわかる方がいれば良いのですが、なかなかそう都合よくはいきませんよね。
そんなときは、別のAIに登場してもらいます。

翻訳AIとして有名な「DeepL」というサービスでチェックしてみました。

https://www.deepl.com/translator

このサイトの左側の入力欄に先程の結果を貼り付けてみます。

すると、右側に日本語訳した結果が表示されます。
この日本語を読んで、不備がないかをチェックしましょう。

アイコンDeepL
外国人観光客の皆さん、

日本の温泉は豊かな自然と心地よい温かさで知られています。一度は体験してみる価値があります。しかし、すべての観光客が快適に利用できるように、いくつかのルールとコツがあります。

1.体を清潔にする: 温泉に浸かる前に、洗い場で全身を洗ってください。共同浴場を清潔に保つためです。

2.洗い場の使用: 体を洗うときは、隣の人にシャワーの水がかからないようにしましょう。使用後は、次の人が使いやすいように片付けてその場を離れるのがマナーです。

3.バスローブとタオル: バスローブや大きなタオルの持ち込みはご遠慮ください。小さなタオルはお持ちいただいても構いませんが、お湯の中には入れないでください。

4.静寂を守ってください: 温泉は静かな場所です。大きな声で話したり騒いだりするのは避けてください。静寂を守れば、訪れる人すべてがリラックスできます。

5.健康状態をチェックしましょう: 温泉の温度は体に負担をかけます。体調が悪いと感じたら、すぐに温泉から上がり、休んでください。体調によっては、医師の診断を仰ぐことをお勧めします。

これらのポイントを守れば、温泉を存分に楽しみ、リラックスすることができます。素晴らしい温泉体験ができますように。
しっかりと翻訳されていることが確認できましたね。


最新技術で作るお宿の「未来」

いかがでしょうか。

ここまで、インバウンド観光客対応におけるChatGPT活用の具体例をご覧いただきました。
もちろん、今回取り上げた以外にも、創意工夫次第で様々な活用方法が考えられます。
少しずつ生成AIの可能性が見えてきたのではないでしょうか。

冒頭でご紹介したように、インバウンドの回復傾向は顕著になってきています。
そして奇しくも同じタイミングで、生成AIが著しく進化し私たちの目の前に登場しました。

これは、観光DXを取り入れる絶好のタイミングなのかもしれません。
この機会を活かし、ぜひ新しいサービスへ目を向けてみませんか?