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【宿泊者アンケートが変わる】「質問」が持つ10の効果

「質問」とは何でしょう?

試しに手元の辞書を引いてみると、こうあります。

疑問点や分からない点を問いただすこと 大辞林

なるほど、たしかにそのとおりです。
でもそれだけでしょうか。

【質問とは何か? どんな効果があるのか?】

アンケートを作る身(設問の設計をする身)として、ちょっと真面目にこの疑問に向き合ってみようと思います。

各シチュエーションでの質問の例

学校で見かける質問の例

 

まずは学校のシーンを想像してみます。


「先生、三角形の内角の和は何度ですか?」

これは、わからないことを教えてもらうための質問ですね。
答えは1つしかなく、先生はおそらくこう答えるでしょう。
「180度ですよ」と。

 

では、こんな質問はいかがでしょう。

 

「先生、本能寺の変はなぜ起きたんですか?」
わからないから質問をしている、とも受け取れますが「先生はどう思いますか?」と聞いているようにも受け取れます。
そもそも答えが1つではありません。1つ目の質問とは、ちょっと意味合いが変わるようですね。


次に、こんな質問はどうでしょう。

「先生、どうしたら友達とケンカをせずにすみますか?」

方法を尋ねる質問。これも答えはたくさんありそうです。

 

 

家庭で見かける質問の例

今度は少しシーンを変えて、家庭でのやりとりを見てみましょう。

 

「そろそろあの子を塾に通わせようと思うんだけど、どう?」
お母さんとお父さんのやりとり。
お母さんはわからないから聞いている、というわけではありません。
相手の考えを聞き取ろうとしているわけです。

お母さんが、部屋を散らかし放題の子供に向けた一言。
「いつになったら片付けるの?」
これもまた、「いつ片付けるか」を知りたいわけではありません。
早く片付けなさい、と注意をうながしている状況です。

子供が転んで泣いています。
「大丈夫?」「どこが痛い?」
大丈夫かどうかは、見た感じでわかっていてもこう聞きますね。
これは「私はあなたを心配しているのよ」ということを示し、痛がっている子供を励ます意味合いがあります。

絵本を読んだ後、子供に投げかける質問。
「このとき、青鬼はどんな気持ちだったかな?」
これは、家庭でも幼稚園でも見かけるシーンですね。
質問を投げかけられた子が、気持ちを汲み取るトレーニングになります。
気づきをうながすための質問。これを教育の世界では「発問」と呼びます。

 

 

ビジネスでの質問の例

 

また場所を移してみましょう。次は、ビジネスのシーンです。

 

企業の社内会議にて
「皆さん、まずはこちらのスライドをご覧ください。どこが問題かおわかりですか?」
それまで何となくスライドを眺めていた社員一同が注目し、問題点を考え始めます。

単に「見てください」と投げかけるよりも、「どこが問題でしょう?」と質問することで、注目を集める(集中してもらう)ことができます。

 

デパートの店内にて
きょろきょろしているお客様に向けて店員さんが
「何かお困りごとがありますか?」
「お手伝いできることがありますか?」
これも「わからないことをきく」とは少し違います。
「私はあなたをサポートする準備ができています」とスタンスを示すための質問です。

 

 

プライベートでの質問の例

 

プライベートのシーンで知り合って間もない人に対し…
「出身はどこ?」
「休みの日は何してるの?」
「音楽とか聴く?」
どの質問も「どうしてもそれを知りたい」ということではなく「あなたに興味がありますよ」と伝える意味があります。

相手も自分のことを尋ねられるのは嬉しいものなので、質問を通してコミュニケーションが円滑に進みますね。

 

「質問の効果」を10に分類する
以上、質問の用途を思いつく限り挙げてみました。

ここで質問の効果をまとめてみましょう。

  • 答えを知る(解答・情報)
  • 答えを知る(解釈)
  • 答えを知る(解決方法)
  • 考えを聞く
  • 注意をうながす
  • 心配していることを示す
  • 気づきをうながす
  • 注目を集める(注意を引く)
  • スタンスを示す
  • 興味があることを示す

 

質問の可能性は無限大。わかりやすいものを10種類ほど挙げてみましたが、これ以外にも効果はきっとあることでしょう。

 

宿泊者アンケートで応用してみると…

さて、アンケートに話を戻します。
旅館やホテルの宿泊者アンケートの質問(設問)は10分類の内、どれに当てはまるでしょうか。
実は…前述した効果のほぼすべてがありえます。
例を挙げてみましょう。

 

答えを知る(解答・情報)

「当館をお選びいただいた決め手は何ですか?」

 

 

答えを知る(解釈)

「お客様にとって【また泊まりたい宿】とはどんなものですか?」

 

 

答えを知る(解決方法)

「どうしたらもっとよい旅館になると思いますか?」

 

 

考えを聞く

「お部屋に準備されるアメニティ類の量は適切でしたか?」

 

 

注意をうながす

※該当なし

 

 

心配を示す

「ご宿泊中、お困りのことはありませんでしたか?」

 

 

気づきをうながす

「夕食バイキングでは、どの料理がお好みでしたか?」

選択肢:シェフが目の前で焼くステーキ・トッピングの選べる特製チヂミ・牧場直送の牛乳…などなど

※選択肢を例示することで、各料理の魅力をありありと思い出していただく

 

 

注目を集める

「当館のスタッフでもっとも輝いていたのは誰ですか?」

 

 

スタンスを示す

「次にご宿泊の際、【あったらいいな】と思うサービスはなんですか?」

 

 

興味があることを示す

「特別な日はいつですか?(クーポンをお配りさせていただきます)」

 

 

質問を投げかけることによって、情報を得る。

それだけではなく、気持ちを伝えたり、受け止めたりもできるんです。
質問自体の可能性が無限大なのと同じように、旅館のアンケートの可能性も【無限大】なんです。