アンケート結果を劇的に【見える化】するグラフのプロ技4選
自動生成のグラフとプロによる手製グラフの違い
アンケート結果、「わかりやすい」形で手元に届いていますか?
アンケートの実施後に集計して、それをグラフにする。
最近だと、グラフを自動生成するツールもたくさんありますよね。
でもそれらのグラフは本当に満足できる「見やすさ」になっていますか?
たとえばExcelの場合。
初期設定で生成されたグラフは「見やすさ」が重視されていません。
というのも、どんな用途にも使える「汎用性」や、誰にでも簡単に使える「お手軽さ」が優先されているためです。
アンケートの結果をわかりやすくする。
こんなふうに用途が決まっている場合は、人の手を加えて「人が見やすい」グラフに作り変えることがとても大切なんです。
Excelはとても高性能なソフトです。
工夫をこらせば見違えるようなグラフができあがります。
私はこれまで、某大手企業の株主総会資料や各種提案資料など、数多くのグラフ化・レポート作成業務を請け負ってきました。
今回のコラムでは、私が今までの経験で培ってきた「よりよいグラフ」にするためのコツを4つにまとめてご紹介させていただきます。
自動生成されたグラフと、プロが作ったグラフとの「違い」も感じていただけたら嬉しいです。
コツ1 データにあったグラフを選ぶ
アンケートのデータにはいくつかの種類があります。
その種類によって、適したグラフもさまざま。
ではここで、ちょっとクイズです。
Q 普段、宿を選ぶときに重視している点は何ですか?(複数回答)
この答えに対して、ぴったりのグラフはどちらでしょう?
A:折れ線グラフ
B:横棒グラフ
自信を持って選べましたか?
正解は「B:横棒グラフ」です。
ポイントは設問が「複数回答」であり、かつ、「選択肢に時間の要素がない」ことです。
データの種類によって、最適なグラフを選ぶというのは基本中のキホン。
そしてこれが何よりも大事なポイントでもあります。
よく使用する3つのグラフの特徴を、以下にまとめてみます。
棒グラフ(縦・横)
時間の要素がない連続性のないデータを比較する場合にぴったりです。
「軸ラベル(項目名)」が長くなってしまう場合には、横棒グラフが見やすくなるので、おすすめです。
円グラフ
全体に占める割合を把握したい場合には、円グラフを使いましょう。
ただし、項目が多くなる場合には見づらくなってしまうため、工夫が必要です。
折れ線グラフ
「時系列」で推移を確認したい場合には、折れ線グラフがおすすめです。
コツ2 シンプルさを意識する
次のコツは、「シンプルさ」を意識することです。
まずは、下のグラフをご覧ください。
BeforeとAfterの2つのグラフ。
この改変にあたって意識したのは「シンプルさ」です。
BeforeからAfterのグラフにするためのプロセスを説明しますね。
STEPはたったの2つです。
STEP1:目盛線や軸目盛、凡例を消す
Beforeでは、目盛線や軸目盛が入っています。
でも、データラベル(棒の上の数字)があるため、目盛はなくても数値は確認できますよね。
なので、目盛線や軸目盛を思い切って消してしまいます。
そして今回は、系列が1つなので凡例は不要です。
凡例も消してしまいましょう。
STEP2:縦棒を太くする
この時点で十分見やすいのですが、このグラフでは縦棒を太くすると更に印象が良くなりそうなので、ここも変えてみましょう。※ExcelやPowerPointの場合
「データ系列の書式設定<系列のオプション<要素の間隔」でこの「要素の間隔」の数値を小さくすればするほど、縦棒が太くなります。
グラフをシンプルに、見やすくするコツ。
それは…「これがないとわかりにくいのか?」と自問しながら、不要な要素を減らしていくことです。
すると、見る人に余計な注意資源を割くことのない「見やすいグラフ」になります。
コツ3 配色にこだわる
配色はちょっと意識するだけで印象が大きく変わるので、押さえておきたいポイントです。
最初に「残念な配色例」のグラフをご覧ください。
Aのグラフ、ひと目で「男性が41%」だとわかりましたか?
このグラフの残念な点は、男性と女性という一般的なイメージカラーとグラフの配色が逆になっていることです。
中央に「女性が約6割」と大きく記載されていることで、なんとか誤解を避けられますが、紛らわしいですよね。
Bのグラフは、「たいへん満足~たいへん不満」の満足度の割合を表すグラフです。
でも「満足」グループと「不満」グループと色の傾向がまとまっておらず、ちぐはぐな印象。
このグラフAとグラフBを配色だけ変更してみます。
いかがでしょう?
これだけでだいぶ見やすくなったのではないでしょうか。
グラフの配色の際に気をつけるポイントをまとめてみます。
-
一般的な印象の色とギャップのある色は使わない(男性・女性など)
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色数が多くなるときは、隣り合う色同士は濃淡をつけて配色する(白黒印刷にも対応できる)
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同じような意味をもつグループは色をグループ化する
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注目したい要素以外は、配色を地味にする方法もある
-
色の選択に困ったときは、コーポレートカラーを意識する
コツ4 注目ポイントを目立たせる
このコツがグラフ作成の工程で、一番クリエイティブかつやりがいのあるところです。
単にデータをグラフ化するだけではなく「伝えたいポイント」をグラフで表現することで、より「わかりやすいグラフ」になるんです。
さっそく例をみてみましょう。
例
これは観光庁「統計白書」からのデータで、宿泊者数の推移を表したものです。
そのままグラフにしたのが、Beforeのグラフ。
これに工夫を加えてみましょう。
ポイントは、令和元年から令和2年の比較で、大幅に減少したことです。
- 令和2年を目立つ色(減少なので、危機感を表すために赤系の色)に変更
- 他の年は目立たないように無彩色(グレー)にする
- 区分線を加えることで、棒グラフであっても、推移を意識できるようにする
- 何%減少したかを併記して、目立つようにする
いかがでしょうか。
ひと工夫加えることで全く違ったグラフになるのを実感していただけたのではないでしょか。
以上、アンケート結果を「わかりやすいグラフ」にする4つのコツをご紹介してきました。
でもここで少し考えたいことがあります。アンケート結果って、実は数字以外の情報がありますよね。
回答者の方が自由に文章を記載する、いわゆる「自由記入欄」です。こればかりはグラフ化することができません。
この問題をどうするか。次項「番外編」で解説していきます。
番外編 テキストマイニングというビジュアル化を知っていますか?
収集したアンケートの自由回答、どのようにご覧になっていますか?
もちろん、そのままリスト化して見るのも「アリ」だと思います。
でも、たとえば利用者さまからの「お褒めの言葉」など、「ポジティブ」なワードがたくさん集まっているのなら、こんなふうにビジュアル化してみるのはいかがでしょう?
これは「テキストマイニング」という技術を使っています。
テキストマイニングとは、発生頻度が高い単語がより大きく表示される解析方法で、感想の見える化に役立ちます。これならどんな感想が多いのか、直感的に理解できますよね。
クリアンのテキストマイニングの詳細はこちらからご覧いただけます。
おまけのギャラリー
最後に、これまで私が作ったグラフの数々をご紹介します。
ギャラリー感覚でご覧ください。
※グラフの数値は架空のデータに書き換えています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
人が手を加えることで、グラフってこんなにも変わるんです。
グラフの可能性、感じていただけたでしょうか。
「アンケートはしているけど、あまり結果を活かせていない…」
そんな方にこそグラフのポテンシャルに目を向け「伝わるグラフ」を活用していただきたいと思っています。
クリアンの「充実プラン」では「わかりやすい手作りグラフ」でのレポートをご提供しています。
ご興味がありましたら、ぜひお問い合わせください。