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1000の感想を【見える化】するテキストマイニングの魔法

応援ソングが「がんばれ」と歌わない

ずいぶん前に見かけた記事のお話からさせてください。

誰もが知っているある歌手の歌詞をAI分析にかけたそうです。
応援ソングで有名な歌手ですが、意外にも「がんばれ」というキーワードはほとんど出てこなかった、とのこと。

これ、とても興味深い話だと思いました。
ここからわかることが2つあります。

  • 「がんばれ」というメッセージは「がんばれ」と言わなくとも伝わる
  • 文字は受け止めた人の中で広がり、別の言葉に変換されることがある


はっきりと書かれていない言葉を、心が解釈して受け止めるというのは、人間の持つ素晴らしい能力の1つです。

「察し」と呼ばれるものですね。

もう1つ、私がこの記事を読んだときに感じたことは「どんな言葉がよく登場するのか」を知ることの重要性です。言い換えればそれは、人の解釈が入る前の、オーガニックな単語を収集するということの大切さです。

この「テキストマイニング」と呼ばれる文章の解析技術は「アンケートに活かせるのでは?」と思ったのです。

「好評」というイメージを構成する言葉たち

ここでアンケートのことを考えてみましょう。
たとえばこんな設問があったとします。

当館を利用して「良かった!」と思われた点についてご記入ください。

選択方式ではなく自由記入です。集計結果にはたくさんの言葉が並びます。
それらの結果を見て「多くの宿泊客様に好評を得ているな」と感想を持ったとします。

何十、何百という数の文章を眺めていると、だんだん具体的な単語が薄れ、印象だけが残ってしまうのは仕方のないことです。
しかし、実際にお客様が使った言葉に大切な「意味」や「意思」が込められているということもたしかです。印象だけが先行して生の言葉が忘れられてしまうのは、もったいないことですよね。

グラフ化できない「文章」を見える化

目の前に1000件の記述式回答があったとします。1000件ともなれば、その文章量は膨大です。

それら全部に目を通すのは、とても大変な作業。もしかしたら1000件目を読むときには、1件目のことは印象が薄れているかもしれません。
記述式の回答は、選択方式のアンケートとは違い、グラフ化することもできません。

記述式の回答をどうまとめるか。

これは、アンケート業界の課題の1つですが、この解決策になるのが「テキストマイニング」という技術だと思っています。

この画像をご覧ください。

テキストマイニングのサンプル
これは、前述した設問(当館を利用して「良かった!」と思われた点についてご記入ください)に対する回答を解析し、画像化したものです。


たくさん登場した文字は大きく表示されています。
登場回数の少ない言葉は小さく表示されています。

このようにどんな言葉がどれだけ使われているか「見える化」することで、宿泊役様の【生の声】や【気持ち】が見えてきませんか?

文字を「魅せる」ということ

文字は、画像に比べてどうしても嫌われがちです。
絵や写真を見るのは一瞬ですが、たくさんの文字はなかなか受け止めにくいですよね。

そこで「文字で見せる」には「文字で魅せる」必要があると考えました。
つまり、美しい絵を見るように文字を見せることはできないか、と考えたのです。

最初にこだわったのは、フォントです。
インターネットで「テキストマイニング」という検索キーワードで検索をしてみると、表示される画像の多くは、よく見かけるゴシック体や明朝体で作られています。

でも、旅館やホテルの宿泊客様からいただいた感想を「見える化」するのであれば、フォントにこだわるべきだと思いました。

あらゆるサイトを行き来し、多種多様なフォントに触れました。
そして有料、無料を含め10以上のフォントを候補として探し出しました。

テキストマイニングで採用するときに検討したフォントの一覧


その中で、最終的に決定したフォントが、こちらです↓

採用したフォント「モリサワA1明朝」のイメージ画像


モリサワ A1明朝。格調高く、温かみのあるこのフォントをクリアンのテキストマイニング用フォントとして採用することにしました。

色の名前

文字の見え方は、「形」と「色合い」で決まります。

フォント(形)が決まったら、次は色です。
私たちはカラーバリエーションについても工夫を凝らすことにしました。

クリアンのテキストマイニングには「ワードクラウド」という技術を使っていますが、このワードクラウドでは無数の「色の組み合わせ」を作ることができます。
しかし「発生頻度の低い文字」が薄すぎて見えにくいものや、日本人が見たときに、どぎつく感じてしまう色の組み合わせも多々あります。

そこで、私たち日本人が心地よく感じられる色の組み合わせを厳選し、6種類のカラーバリエーションを選び出しました。

江戸紫-edomurasaki-

カラーバリエーション01_江戸紫-edomurasaki-

 

樹-itsuki-

カラーバリエーション02_樹-itsuki-


 

春風-harukaze-

カラーバリエーション03_春風-harukaze-


 

秋祭-akimatsuri-

カラーバリエーション04_秋祭-akimatsuri-


 

翠-midori

カラーバリエーション05_翠-midori


 

茜-akane-

カラーバリエーション06_茜-akane-


 

以上、命名はすべてクリアンによるものです。

テキストマイニングは、宿泊客様からいただいた感想を「文字の花束」にするような行為だと思っています。お花屋さんで花束を作ってもらうときに色合いを選ぶような楽しさを感じていただければ…と考案しました。

  • お宿の良さを伝えやすい配色はどれか
  • いただいた感想(言葉)にはどんな色が似合うか


…などを考えながらお選びいただくのがおすすめです。

テキストマイニングと、人の手と。

最後に1つだけ、お伝えしておかなければならないことがあります。

それは、テキストマイニングにより生成された画像は「完全無欠のもの」ではないということです。

たとえば、日本語では「それ」「こと」「ない」など、それ自体では意味を持たない単語があります。あるいは「ビュッフェ」「ブュッフェ」「ブッフェ」などの表記ゆれをどこまで同じ単語とするか、という問題もあります。

人間が読めば同じものだと即座にわかる単語も、プログラムにとっては解釈がなかなか難しいようです。

クリアンでは自動生成された結果に、上記の問題を解決すべくほんの少し手を加え、人間に見やすいものに仕上げていきます。
プログラムの制約上、完全に人間の期待する形にならないこともありますが、日々工夫を続けております。

ご興味がある方はぜひこちらの資料(PDF)をご覧ください。
お問い合わせやお申し込みはこちらからどうぞ。