アンケート作成に役立つ「言い換え」の技法
結婚式で使わない言葉
皆さん、突然ですが結婚式で来賓挨拶をしたご経験、ありますか?
二人にとって一生に一度のおめでたい場。ご両親、親族、職場の方々、ご友人の方々に祝福される大切なひととき。
それゆえに、場馴れした方でも結婚式の挨拶だけは緊張する、というお話もよく聞きます。
その結婚式のご挨拶の場で使わないほうが良い言葉があるのをご存知ですか?
通称「忌み言葉(いみことば)」と呼ばれます。
その一例をご紹介しましょう。
- 短い
- 終わる
- 最後
- 切る
- 泣く
- 離れる
- 消える
- 縮まる
- 捨てる
- 薄い
- 散る
- ますます
- たびたび
- 日々
- 重ね重ね
- しばしば
別れを連想する言葉や、再婚を連想する重ね言葉などは特に避けるべき、とされているそうです。
せっかくの門出に悲しい連想させるような言葉を使わない、という配慮ですね。
忌み言葉の言い換え
では、どう表現すれば良いのか。気になるところですね。
いくつか挙げてみますと、こんなふうに言い換えるそうです。
- 短い(時間)→つかの間の(時間)
- 終わる→お開きになる
- 最後→結び
- (ケーキを)切る→(ケーキに)ナイフを入れる
- (スタートを)切る→(スタートラインに)立つ
- 泣く→涙する
- (実家を)離れる→独立する
- (職場を)離れる→家庭に入る
- 重ね重ね→深く
- しばしば→いつも
別の言葉に言い換えるだけで、同じ意味でもかなりイメージが変わるものですね。
視覚と直感と
人は、感情の生き物です。
理屈を抜きにして、ひと目やひと耳で直感して「嫌な感じがする」と思ってしまうことがあるものです。
試しにこちらの図をご覧ください。
一定のイメージを持つ漢字をあえて集めてみました。
いかがですか? ちょっと嫌な気持ちになりませんでしたか?
それではこちらはいかがでしょう。
どうですか?
逆に、ちょっとわくわくしてきませんか?
ちなみに、文字の大きさや色はまったく変えていません。
「印象」から旅館アンケートを考える
ただ今ご体感いただいたように、意外とあなどれない直感による印象。
実はこれ、旅館やホテルのアンケートにとって重要な要素なんです。
宿泊客様に本音で答えていただき、意味のある情報やデータを手に入れる。
これが、お宿の立場としての「アンケート」です。
でもここで忘れてはいけないのが、宿泊客様にとってアンケートとは何なのか、ということです。
- 自分が泊まった宿を評価すること
- 自分がした体験を言葉にすること
- 感謝の気持ちをお宿に伝えること
様々な意味合いが考えられます。
いずれにしても、アンケートに回答するということ自体は多かれ少なかれ「労力」でもあるはずです。
旅行中の大切な時間をお宿のために分けてくださっているお客様。
せっかくならば、心地よく回答していただきたいですよね。
設問の文面にちょっとした工夫を取り入れることで、印象はガラリと変わります。この印象を変える工夫。
心地よいアンケート作りにはこれが欠かせません。
アンケートでの言い換え
それでは、アンケートの設問(質問文)で登場しそうな文言を言い換えてみましょう。
- 悪い点→改善すべき点
- ご不満な点→ご満足いただけなかった点
- ご不明な点→わかりにくかった点
- 美味しくないと感じた品→お口に合わなかった品
- 足りないもの→あると良いもの
- 危険なため立入禁止→安全上立ち入れない場所
押さえておきたいポイントは、アンケートの設問は「文字で見るもの」だということ。
「悪い」「不満」「不明」「美味しくない」「足りない」「危険」「禁止」などの文字を避ける。
これだけで印象がずいぶん軽くなりますね。
ただし、この言い換えは【絶対】ではありません。
「短い言葉で伝えたい」
「直感的・直接的な方が良い」
…という場合もありますので、言い換え前と言い換え後、どちらを選択するかはケースバイケースです。
どちらを選ぶにしても、意図を明確にして言葉を選んでいきたいですね。
いかがでしょうか。アンケートの言葉選びの奥深さを感じていただけたでしょうか。
ご自身でアンケートを設計される際のご参考になれば幸いです。