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アンケートが性別や年齢を聞いてくるたった1つの理由

「お料理の満足度」を聞く意味

今回は、アンケートにまつわる素朴な疑問にお答えしようと思います。

「お料理の満足度はいかがでしたか?」

これは宿泊者アンケートに限らず、一般的な飲食店アンケートでもよく見かける質問です。
ほとんどの場合は以下のような5段階評価で質問されます。

  • たいへん満足
  • やや満足
  • どちらとも言えない
  • やや不満
  • たいへん不満


この設問は「どうしてそれを聞きたいのか(意図)」「それを聞いてどうするのか(活用法)」というイメージもわきやすいですよね。

この問いの結果は主に、こんなふうに活用されます。

【満足度が低い場合】
今後の業務改善(味の改良・品目の増強)につなげる

【満足度が高い場合】
スタッフにフィードバックしてモチベーション向上につなげる
満足度の高さを公式HPや広告でPRする

豪華な料理のイメージ

 

 

「性別」や「年齢」を聞く意味

その一方で、こんな設問もよく見かけますよね。

性別:男性 / 女性
年齢:(  )歳

「性別(年齢)をお答えください」と質問の形式を取っていたり、上のように単に入力欄だったり、形は様々です。

なんで性別や年齢が必要なの?
それを聞いてどうするの?

…と思われる方もいるかもしれません。
たしかに、料理の満足度とは違い、個人情報めいていてちょっと気になりますね。

実は、この性別や年齢には専門用語で言うところの【スクリーニング】という役割があるんです。

コンビニのレジ打ちのバイトをされたことのある方は「年齢ボタン」というものをご存知かと思います。
会計のたびに、お客様の外見から想像して年代と性別を選びます。
どんなお客様が何を買って行かれたかを記録するわけです。

これも【スクリーニング】の一種なんです。

コンビニのレジ打ち

 

 

【ほぼ完璧】な抹茶アイスの件

ここでスクリーニングの理解を深めるために、簡単なアンケートの例を見ていきましょう。

設問:
「デザートの抹茶アイスはいかがでしたか?」

選択肢:
たいへん不満 / やや不満 / どちらとも言えない / やや満足 / たいへん満足

抹茶アイスの満足度についての設問です。
そして、こちらがその結果をグラフにしたものです。

抹茶アイスの満足度の円グラフ。「たいへん満足」と「やや満足」が9割を占めている。

 

「たいへん満足」と「やや満足」の合計が約90%
つまりほとんどの人が満足しているというデータです。

この結果を見る限り、素晴らしい抹茶アイスですね。
私も食べてみたくなります。

抹茶アイス

 

 

抹茶アイスの知られざる真実

では次に、こちらのグラフをご覧ください。
先ほどと同じデータを、年代別にまとめ直したものです。

抹茶アイスの満足度(年代別)の帯グラフ。若年層では満足度が低いことがわかる。

 

あれ?
同じ商品の集計結果なのに、この抹茶アイスに対する見方がちょっと変わってきませんか?

40代以上の方にはたしかに高い支持を得られていますが、若い世代にはあまり支持されていないことがわかります。

どうもこの結果を見ると、一概に「素晴らしい抹茶アイス」とは言い切れないかもしれません。
少し課題があるようさえ思えます。


見えない事実を知るための設問

先にお見せした円グラフ(A)と、後からお見せした帯グラフ(B)で、印象がずいぶんと変わりましたね。
そして、Bの方が調査の精度が高いように見えます。

なぜBのような集計が可能なのか。
それは、アンケートの設問に「年齢欄」があるからです。

これらを踏まえると、以下のようなことが言えます。

年齢の情報を得ずに総数の割合だけを見て「ほとんどの人が満足している」という結論を得るのはデータとしては不十分である。

これは、性別による差も同様です。

以下の2つのグラフは、架空の商品「A」についての満足度調査の結果です。

商品Aの満足度(年代別)の帯グラフ。すべての年代で満足度が高いことがわかる。

 

↑こちらを見ると、全年齢で満足度が高そうです。

商品Aの満足度(男女別)。男性と女性で満足度が逆転していることがわかる。

 

↑しかし男女別に見てみると、男性と女性で満足度に大きな差があることがわかります。

このように一見、全年齢で人気を得ている商品があったとしても、内訳を見てみるとほとんどが女性の票であり、男性回答者にとっては不評であった、なんていうこともあり得るわけです。

こうした「見えない事実」を探るために、年齢や性別を聞く質問が必要なのです。



スクリーニングデータの活用

  • 「幅広い年代に愛されるサービスを創出したい」
  • 「性別に関わらず楽しめる体験を提供したい」


こんなときに、スクリーニングデータはたいへん役立ちます。

また、年代別や性別ごとの施策を考えるヒントを探す場合も、こうしたスクリーニング要素の設問が重要になってきます。

  • 「このサービスは、どんな世代に人気があるのか?」
  • 「男性客も取り込むことはできないか?」
  • 「このサービスについて年配のお客様はどうお考えだろう?」


そんな改善の起点となるテーマを手に入れるためにも、スクリーニングのための質問が必要なんです。

アンケートを作る際は、ぜひ参考にしてみてください。

老若男女のイメージ


クリアンでは、このようなスクリーニングを含むアンケートの設問設計から運用・集計までをお手伝いします。ご興味のある方は下記の「お問い合わせ」からご連絡ください。