宿泊者アンケートでファンを作る3つの方法
アンケートの2面性
ご宿泊アンケートと聞いて、どんなイメージを持ちますか?
もしかするとネガティブなイメージを持たれる方もいるかもしれません。
- 面倒がられる
- 苦情を書かれる
- 回収や集計がタイヘン
残念ながら、ある意味ではどれも真実です。
でも、ポジティブな面もたしかにあります。
- 褒めてもらえる
- ご厚意を実感できる
- ファンを作れる
この3点、1つ1つ見ていきましょう。
アンケートのポジティブ面
褒めてもらえる
設問次第ではありますが、少なからず「お褒めの言葉をいただける」というのがアンケートの良いところです。
ご自身で「人気がある」とわかっているサービスであっても、生の言葉で褒めていただけると実感や確信につながります。
スタッフの方々に回覧すればモチベーションアップにもつながります。
また「人気がある」とは意識していなかったサービスの隠れた人気に気づく(お客様に教えていただける)、なんていうことも多々あるようです。
ご厚意を実感できる
実は、アンケートを書いていただけること自体、ありがたいご厚意なんです。
これは意外と見落としがちな部分です。
たとえば客室にアンケート用紙が置いてあるとします。
もちろん宿泊客様は、それに回答しなければならないという義務はありません。
にも関わらず、大切な旅の時間の一部をアンケート回答に使ってくださった。
これは、間違いなくお客様のご厚意です。
そこに書かれていることがお褒めの言葉でも、あるいは叱咤の言葉であっても、たいへんありがたいことですね。
ファンを作れる
さて、今回の本題はここです。
アンケートでファンを作る。あまりピンときませんか?
満足度調査、意識調査、口コミの収集など、アンケートの目的は色々と考えられます。
その目的の1つとして「ファンを作ろう」と意識的に試みれば、十分に可能なことなんです。
今回はその方法を3つほどご紹介します。
- お客様の「夢」を叶える
- お客様の「残念」を解消する
- お客様に「返事」を書く
これも1つ1つ解説していきますね。
アンケートでファンを作る3つの方法
お客様の「夢」を叶える
夢というと、ちょっと絵空事めいて聞こえるかもしれません。
「夢」を言い換えるとすれば「体験したいこと」です。
アンケートの設問は、たとえばこうです。
「旅先の宿でやってみたい、と思うことはなんですか?」
「旅先の宿にあったらいいな、と思うものはなんですか?」
この答えとしては、次のようなものが想定されます。
- マシュマロを自分で焼いて食べてみたい
- 眺めが良いので油絵体験をしてみたい
- その土地の民謡の歌唱を聞いてみたい
- ハンモックがあると嬉しい
- 絵本コーナーがあると嬉しい
仮の話ですが「やってみたいことは?」という設問の回答に「マシュマロ」と記載した人が100人中2人いたとします。
その場合、潜在的なマシュマロ希望者はもっと多くいるはずです。
具体的に(あるいは漠然と)望まれている「体験」をオプションサービスとして設定することで、多くの方の「小さな夢」を叶えることになります。
これが、夢を叶えてファンを作る、という例です。
お客様の「残念」を解消する
まずはアンケートの設問の例をご覧ください。
「ご宿泊中、何か残念に感じられたことがあれば遠慮なくご記入ください」
想定される答えとしては、たとえば次のようなものです。
- 部屋に蚊がいた
- 大浴場にバスタオルがなかった
- テレビのリモコンが効かなかった
蚊がいた
→自然豊かなところであれば、これ自体はやむを得ないことです。ただし、蚊よけ機器を各部屋に配備することで対応できます。安全上、火を使わない電気式のものが良いでしょう。
バスタオルがなかった
→各部屋からお持ちいただくという仕組みになっていたとします。にも関わらず、このご意見が出たとすれば「ご案内時の周知ができていなかった(またはうまく伝わっていなかった)」可能性があります。スタッフの案内方法を徹底するという対策が考えられます。
リモコンが効かなかった
→旅館やホテルのリモコンの電池切れ。これは旅行者にとっては「あるある」ですが、宿側としては意外と盲点でもあります。リモコンのオンオフによる電池チェックをお部屋のセッティング項目に取り入れるのが良さそうです。
以上3点、「残念」の例と、その対策例をご紹介しました。
「残念を解消しただけで本当にファンができるかな?」とお思いかもしれませんね。
たしかにもっともな疑問です。
実はこれ、単独では成立しないんです。
次に解説する3つ目「お客様に返事を書く」との「合わせ技」ではっきりとした効果が出てきます。
お客様に「返事」を書く
お声をいただいたとき、これに対する返事を書く(フィードバックする)ことがファン創造の決め手になります。
たとえば、先ほどのテレビのリモコンの例です。
アンケート回答へのお返事としてこんなメールを送るのはいかがでしょう。
先日はご宿泊いただき誠にありがとうございました。
また、アンケートにてご記載いただいたテレビリモコンの件、ご指摘たいへんありがとうございました。
ご滞在中はご不便な思いをさせてしまい申し訳ありません。
今後このようなことのないよう、当館では以下のような対策をいたしました。
【対策】
スタッフによるお部屋の清掃時のチェック項目に「リモコンの電池チェック」を追加しました。具体的には、以下のような方法で行います。
- リモコンによるテレビ電源のON、OFFとチャンネル切り替え
- リモコンによるエアコンのON、OFFと設定温度変更
※反応が悪い場合は必ず電池を交換すること
これからも当館はお客様に快適に過ごしていただけるような「より良い宿」を目指して参ります。
また、もし次回ご利用いただける際は「ここが変わった!」「ここが良くなった!」と思っていただけるよう励んでまいります。
今回は本当にありがとうございました。
ぜひ、またのご来館をスタッフ一同、心よりお待ちしております。
宿からこんなメールが届いたら、お客様のお気持ちはいかがでしょう。
きっと、ファンになってくださると思います。
お返事メールの主題は、「残念の解消」に限ったことではありません。
たとえば「マシュマロを焼けるサービスを始めました」でも良いと思います。
もちろん、すべてのアンケート回答にお返事を書くことは現実的ではありません。
しかし、いただいたご意見を元に何か施策を実施した場合、そのお詫びやお礼も含め、ご連絡することをオススメします。
「自分の意見が役に立った」と実感してイヤな思いをするお客様はいらっしゃいません。
たとえば次にお泊りのとき、「マシュマロ焼きサービス」を見かけたら…自分が考えたもの、と思えて嬉しい気持ちになってくださるかもしれませんよね。
おさらい
改めておさらいをします。
宿泊者アンケートからファンを作る方法はこの3つです。
- お客様の「夢」を叶える
- お客様の「残念」を解消する
- お客様に返事を書く
叶えるのは小さな「夢」でもかまいません。
すべての「残念」が解消できなくてもかまいません。
そのときできることを、真摯に。
そして実現できたことは、感謝を込めてお知らせする。
これだけでファンは確実に増えていきます。
やれることから、1つ1つ。
貴館のお役に立ちますように。