なぜ口コミは「強い」のか~ウインザー効果と宿泊者アンケート~
「口コミ」を考える
ディナーのためのお店探し。
失敗したくない映画選び。
新製品を買うかどうか問題。
そんなとき、皆さんも口コミを見て参考にされることと思います。
口コミで好評だと「よいもの」のような気がしてきます。
そして口コミが良くないと、なかなか手を伸ばしにくくなります。
今回のテーマは「口コミの強さの理由を考える」です。
そのために、まずは「ほめ方」のあれこれについて考えていきましょう。
マネジメント目線で考える「ほめ方」
世にあるマネジメント関連のビジネス書を開いてみると、必ずと言って良いほど登場するのが「ほめ方」のお話です。
たとえば、部下のA君をほめるとき。
以下の2つでは、どちらの方が効果が高いと思いますか?
パターン1 直接ほめる
A君を目の前にして、本人に対してほめます。
「君は自分の担当の仕事だけではなく、その周辺にまで気配りができて、とてもいいね」
パターン2 間接的にほめる
A君が不在のところでA君の先輩(=たとえばB君)にほめます。
「A君は自分の担当の仕事だけではなく、その周辺にまで気配りができてとてもいいね」
さて、どちらがより効果的でしょうか。
よろしければここで少し立ち止まり、それぞれの果たす効果について想像してみてください。
ウインザー効果
「直接ほめ」と「間接ほめ」。
より効果的なのは、パターン2(間接ほめ)です。
A君が不在の場所でほめる。
この方がA君のモチベーションは向上します。
これが何故なのか。
それを考えるために、その後の展開を想像してみましょう。
上司がB君に対してA君をほめたとき、もちろんその場にA君はいません。
でもその後、B君は後輩であるA君と顔を合わせます。
そのとき、B君はA君に対してにこう言います。
「そういえば○○部長が君のことをほめていたよ。自分の仕事だけでなく、周辺にも気配りができているって」
A君は、自分の知らないところで上司が自分をほめてくれていた、という事実を間接的に知り、喜びます。
「これからも、もっと頑張っていこう」と気持ち新たにするかもしれません。
これは、心理学用語で「ウインザー効果」と呼ばれるものです。
「利害関係のない第三者が発した情報の方が信頼性が増す」という効果です。
パターン1の場合、A君と上司は向かい合っています。
目の前にいる相手をほめるのですから「自分を喜ばせようと思って言っているのかな?」という意識(利害関係)を、どうしても持ってしまうものです。
これに対しパターン2は、発言の当事者がいません。本人に伝わるかどうかもわからないところで発生した会話でほめられていたことを「たまたま」知ります。
利害関係のない第三者が発していることで「本当に評価されている」と実感できた、という例です。
宿泊施設のプロモーションへの活用
利害関係のないところからの発言に信憑性を感じる
「ウインザー効果」という言葉はご存じなかったとしても、この効果自体はなんとなく体感されたことがあるのではないでしょうか。
このウインザー効果、実は旅館やホテルのプロモーションにも活用できるんです。
露天風呂をアピール
まずは「大きな例」から見てみましょう。
お宿に自慢の景観の露天風呂があるとします。
当館のお勧めは露天風呂です。○○山を間近に眺められる絶景露天風呂をぜひご堪能ください。晴れ、雨、雪。どんな天気でもそれぞれに素晴らしい景色を眺めることができます。
当館の露天風呂は、こんなお声をいただいています。
「眺めが最高!」
「晴れの日も良いが、雨でも雪でも風情がある」
「朝もやのかかった○○山を眺めながらの朝風呂。最高のゼイタクでした」
「日頃の疲れが全部吹き飛びました!」
いかがでしょうか。
後者の方が臨場感があるように感じませんか?
アメニティをアピール
次は、ちょっと「小さな例」を見ていきましょう。
当館では、お部屋の歯ブラシを2色用意しており、お連れの方との使い分けがしやすくなっております。
お部屋の歯ブラシが2色用意してありました。
最初はその意味がわからなかったのですが、使うときにハッとしました。連れと自分の歯ブラシが区別できるためなんですね。
こうした細かい気遣いがとてもありがたかったです。
こちらも比べてみると、PR効果の差は明らかです。
「細かいところにも気を配っています」と自分で伝えるよりも「細かいところにも気を配ってくださっています」と生の声をいただいたことを伝える方が見栄えも良いですね。
「生の声」でほめていただく
ウインザー効果の有無による違い。
2つの事例を解説させていただきました。
その効力を実感いただけたのではないでしょうか。
ポイントは「お客様からの生の声」であることです。
過去に宿泊されたお客様と、これから泊まるお客様の間には利害関係がありません。
その関係性の中で伝えられる情報は、自然と信頼性が増していくものなんです。
口コミが販促に効果的だと言われることは多いですが、その理由を紐解いてみると、ウインザー効果によるところが大きいんです。
さて、ここまでで口コミが強いという理由はわかりました。
そこで次に気になるのが、口コミをどう収集するか、という点です。
レビューサイトに口コミが集まるのを待つ。
これも1つの方法です。
でもこの場合は、文字通り「待ち」の姿勢になってしまいますよね。
いつレビューが書かれるかもわかりませんし、露天風呂やアメニティの話題に触れてもらえるかどうかもわかりません。
積極的に口コミを集めるときに役立つのが、宿泊者アンケートです。
露天風呂のご感想をぜひお聞かせください。
お部屋での体験で「いいね!」と思われたことがあればぜひお聞かせください。
こんな設問を用意し、自由記入欄(文章回答欄)に記載していただくことで「生の声」が集まりやすくなります。
※アンケート用紙にはあらかじめ利用目的を明示しておく必要があります
もし既に貴館で宿泊者アンケートを実施されているようでしたら、このような設問を追加して販促に使えそうなお声を集めてみるのもオススメです。
おわりに
そして、アンケートを利用してウインザー効果を最大限活用するためには、アンケート自体の回収率を上げていく必要もあります。
回収率の向上については別のコラムで解説しております。よろしければご参考になさってください。
参考:宿泊者アンケートの回収率を上げる「ラポールの形成」
また、クリアンではWebアンケート制作をお手伝いしております。
ウインザー効果を活用したアンケート制作に、もしご興味がありましたら、以下の「お問い合わせ」からご連絡ください。