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宿泊者アンケートの回収率を上げる特典のアイデア20

アンケートの回収率を上げる

突然ですが貴館のご宿泊アンケート、回収率は何パーセントくらいですか?

ご宿泊アンケートによって得たご意見やデータ。
これは、旅館やホテルなどの宿泊施設にとって「財産」になり得るものです。

「財産」は言い過ぎだと思いますか?
でもこれ、決して大げさな話ではありません。
アンケートの結果は、たとえばこんなふうに活用できます。

お客様の喜びの声
→スタッフのモチベーション向上
→WebサイトやSNSでのPR

満足度の数値化
→「満足度96%の夕食バイキング」など数値による訴求・販促

意外なお褒めの言葉
→自分たちでは気づかなかった「強み」の発見

意外なご指摘
→自分たちでは気づけなかった「問題点」の発見

これらはどれも、ネット検索しても決して手に入れることのできない「生の情報」です。
そんな貴重な情報の宝庫であるアンケート

でも回収率が低いとこれらの「財産」はなかなかたまっていきませんよね。

アンケートから得られる財産のイメージ

アンケートでは「どんな質問をしてどんな情報を得るか」がとても大切です。
でも、どれほど良い質問を設計したとしても、たくさんの回答がいただけなければもったいない。
だからこそ、アンケートにとって回収率の向上は一大テーマなんです。

回収率向上の方策として、以前のコラムで「ラポールの形成」をご提案しました。
参考:宿泊者アンケートの回収率を上げる「ラポールの形成」

今回はもう1つ、別のご提案をします。
それは、アンケートに回答くださった方へのお礼を用意すること。
いわゆる「アンケート特典」です。


特典の考え方

回収率向上の手段として、「アンケート特典」はとても効果的です。
Webアンケートの場合は、こんなふうに呼びかけます。

「スマホでご回答後、完了画面をスタッフにお見せいただけると、もれなく○○を差し上げます」

もちろん特典を準備するにはコストがかかります。
でも回答結果の中からコストに見合うだけの価値を「発掘」できれば、ものすごいコストパフォーマンスを発揮するんです。※「アンケートで得られるもの」の詳細については、このコラムの最後にリンク集をご用意しております。

アンケート回答の特典を考える上で、まずは2つの視点をご紹介します。

  • 「残らないもの」か「残るもの」か
  • 「全プレ」か「抽選」か


この2つの視点から発想することで、最適な特典を考案することができます。


「残らないもの」か「残るもの」か

「残らないもの」とは、使ったらなくなるものです。
たとえば割引チケットなど。
館内の売店で使える300円OFF券。
お土産を買うときにご利用いただきます。お手軽に使えますが、この割引が長く記憶に残ることはありません。

「残るもの」とは、物や体験です。
たとえばポストカード。持ち帰ってお部屋に飾っていただければ長い期間、物理的に残ります。
たとえばマッサージ利用券。これは使えばなくなりますが、旅先での至福の体験は長い期間、記憶として残ります。

「残らないもの」と「残るもの」。
これはどちらが「絶対に良い」ということはありません。

特徴としては、前者は直接的に「得した」と感じやすいもの。
後者は何かの拍子に貴館を思い出すきっかけになるものです。

※ご参考まで…行動経済学上は、「同価値のお金と経験では、経験の方が幸福感が長く続くと言われています。

割引クーポン・ポストカード・マッサージ体験

 

「全プレ」か「抽選」か

全プレとは、「もれなく全員にプレゼント」のことです。
抽選は、回答者の中から「規定人数のみがもらえる」という形式です。

もらう立場を考えると、取りこぼしのない全プレの方が喜んでいただけそうなものです。
しかし、贈る側の予算には限りがありますので、一概にそうとは言えません。

贈る側としては、コスト面を考慮しつつ「お安めの全プレ」か「お高めの抽選」かを決断していくことになります。

これもまた唯一の正解はありませんが、一般的には「お高めの抽選」の方がワクワク感は高まるようです。

全プレと抽選の比較イメージ

 

タイプ別アイデア集

「残らないもの」と「残るもの」。
「全プレ」と「抽選」。

これらの組み合わせにより、特典は4つのパターンに分けることができます。

A:全プレで残らない B:全プレで残る C:抽選で残らない D:抽選で残る

ではここで、それぞれのアイデアをできるかぎり挙げてみます。

A:全プレの残らないもの

  1. チェックアウト時間の延長券
  2. 次回宿泊時の5%割引券(有効期限あり)
  3. 売店の300円割引券(1000円以上のお買い上げで使用可能)
  4. お菓子(土産物)の試供品
  5. ロビーで使えるワンドリンクチケット
  6. 周辺観光施設の割引チケット
  7. 湯の花
  8. 駄菓子セット

B:全プレの残るもの

  1. 旅館のオリジナルステッカー
  2. 旅館のロゴ入りボールペン
  3. 自宅のお風呂に浮かべられるひのきボール
  4. スマホの画面クリーナー
  5. 旅館スタッフとじゃんけんをして勝ったら○○がもらえる
  6. 「○○旅館の秘密 ※非売品冊子」をプレゼント(スタッフインタビューや旅館の工夫をPR)
  7. 旅館のバックヤード見学ツアーチケット(次回来館時に使用可)
  8. 旅館のオリジナルキャラクター(きぐるみ)と写真を撮れるチケット

C:抽選の残らないもの

  1. 無料宿泊チケット(次回利用)
  2. 無料日帰り入浴チケット(次回利用)

D:抽選の残るもの

  1. フォトブック制作ギフト券
  2. 高級アメニティセット

 

パターン別の解説

A:気軽に答えてちょっと得したというお手軽感
全プレなので、どれも特別高価なものではありません。
しかし、確実にもらえるという「お得感」はお客様の心を惹きつけるものです。
低コストで魅力的な特典を考え出すことができれば、回収率アップ間違いなしです。

B:見るたびに思い出す
たとえばひのきボールは、ご自宅で入浴するたびに目にすることになります。
お風呂でのひととき「旅行で泊まった旅館でもらったんだよなぁ」と思い出す機会を作ることにもなります。
スタッフとのじゃんけんをして勝ったら景品がもらえる。もしお子さんが参加して景品を手に入れたら、楽しい思い出として長く心に残ることでしょう。
回収率アップだけではなく「思い出してもらえる」という付加価値が生まれる特典です。

C:当選した喜び
宿泊や日帰り入浴は形としては残りません。
でも「ただで泊まれた」「ただで温泉に入浴できた」という出来事はインパクト大です。
喜びもひとしおですから、ご友人やご親戚にお話しされるかもしれません。
「○○旅館でね、アンケートに答えたら当たったのよ。来月もう一回泊まりに行ってくるわ」
嬉しそうに、人の口を通して語られる貴館の名前。回収率アップと共にイメージアップにも貢献しそうです。

D:手に取れるたしかな存在感
これはいわば、BとCの「良いとこどり」です。
当選した嬉しさを感じつつ、その成果が手に取れる形で残ります。
旅の思い出写真をフォトブックにし、それを友人に見せながら「この本、タダで作ってもらえたの」と楽しげに語る姿が想像できますね。
高級アメニティ。「使ってみたいけど自分で買うにはお高くて…」と思っていたものを無料でもらえる喜び。使うたびにその喜びと貴館での旅の思い出がよみがえることでしょう。


アンケートの回収率向上にコストをかける意味

以上、4パターンの特典とその効果を見てきました。

いずれのパターンについても言えることは、単純に「アンケート回答」と「特典」の取引ではないということです。
アンケート特典には、宿泊客様とお宿のどちらにもたくさんのメリットがあります。

お客様のメリット

  • ちょっと得する
  • 珍しい体験ができる
  • 便利なものがもらえる
  • 後日、楽しい旅を思い出していい気分
  • 当選の嬉しさ
  • 高価なものを持つ喜び


お宿のメリット

  • 貴重な生の声を得られる
  • 宿泊体験を思い出してもらえる
  • 楽しい思い出を形にして持ち帰ってもらえる
  • リピートしてもらいやすい
  • 口コミが広がりやすい


きっかけは「特典」ですが、上記のようにお気持ちを媒介として様々な広がりが期待できます。

冒頭で挙げたアンケート回答から得られる「財産」以外にも、こんなにたくさんのメリットがあるとすれば、アンケート特典に少しだけコストをかけてみるのも良さそうではありませんか?

上に挙げさせていただいた特典20種はあくまでもアイデアの例です。
これを発想のヒントとして、貴館にぴったりの「特典」を考案するきっかけになれば幸いです。

※アンケート実施によって得られるものはたくさんあります。ご興味がありましたら以下の関連コラムをご覧ください。

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