• アンケート
  • ホテル
  • 旅館
  • 設問設計
  • 顧客心理

「あなたにとって○○とは?」に潜む問題点~質問の「圧」~

あなたにとって○○とは?

「あなたにとって野球とはなんですか?」

突然ですが問題です。
上の質問の問題点はなんでしょう?

皆さんだったら、この問いにどのように答えますか?

もちろん、野球でなくてもかまいません。
夢中になっている趣味やこれまでに打ち込んだことのあるスポーツを思い浮かべてみてください。

そして、よろしければ一度立ち止まって答えを考えてみてください。

さてどうでしょう。





今、思いついた答え。
それは…本当にあなたの【本音】を表した答えになっていますか?

インタビュアー

 

質問の「圧」

こう考えてみると、冒頭の質問の問題点が少し見えてきたのではないでしょうか。

「あなたにとって〇〇とはなんですか?」

この質問は「いいことを言ってくださいね」という質問者からの「圧」が強すぎるんです。

答える側はたいていの場合、その圧に負け、ちょっとかっこつけてしまいます。
ここに質問としての欠陥があるんです。

質問者の期待に応えようと「いい答え」を意識すると、実態からはどんどんかけ離れてしまいます。
これでは本当の「声」が聞こえてきませんよね。

もちろん、インタビューを受け慣れている人であれば、話は別です。
一流のプロスポーツ選手であれば、質問の圧に負けることなく、本当の声を伝えることができるのかもしれません。
しかし、世の中はそんな場馴れした回答者ばかりではありません。

たとえば私だったら、やはりちょっとかっこつけてしまうかな、と思うのです。

たくさんのマイクを向けられているイメージ

 

 

「圧」のない質問に置き換える

では、誰もが本音で答えられるような質問の仕方って、ないものでしょうか。
「その人にとっての野球とは何か」を知りたければ、こんなふうに質問する方がオススメです。

  • 野球を始めたきっかけは?
  • 一番楽しかったことは?
  • 一番つらかったことは?
  • どんな出会いがありましたか?
  • 尊敬する人はいますか?
  • 得意なプレーは何ですか?
  • 好きな野球道具は?
  • トレーニングしているときに考えていることは?
  • 試合前はどんな気持ちですか?


どの質問も「あなたにとっての野球とは?」と直接は聞いていません。
でも、これらの質問を重ねていくことで「その人にとっての野球」が見えてくるような気がしませんか?

これが圧のない質問です。

野球にまつわる思い出を浮かべる男性

 

 

「圧」のない旅館アンケート

さてここで、旅館アンケートに置き換えて考えてみましょう。
たとえば宿泊者様たちにとっての「良い旅館とは何か」を知りたい場合。

「あなたにとっての良い旅館とは?」

この聞き方では野球のケースと同様、うまくいきません。
「圧」を取り払って、こんなふうに聞いてみましょう。

  • どんな旅館に泊まってみたいですか?
  • これまで泊まった中で最高の宿はどこですか?
  • なぜその宿が最高だと思いましたか?
  • お宿選びのときに重視するポイントは?
    立地 / 部屋 / 料金 / 食事 / 接客 / レビュー / その他
  • 旅行での宿泊体験で心に残っているエピソードは?
  • 誰との宿泊が楽しいですか?
    友人 / 恋人 / 家族(親と) / 家族(子と) / 家族(パートナーと) / 一人で
  • 知人に「オススメの宿」を紹介するとき、真っ先に伝えるポイントは?
  • もう一度泊まりたい宿にあって、泊まりたくない宿にはないものは何でしょう?


これらの質問の答えを想像すると、色々と生の声が浮かんできませんか?
私は回答を見るのが楽しみにさえなってきます。

旅館の要素を思い浮かべる女性

 

「良い宿」の条件はひとそれぞれ。
つまり「良い宿」は人の数だけあるのかもしれません。

でも、アンケートによって多くの聞き取りを重ねることで見えてくるものはたしかにあるはずです。

たくさんの方に「良い宿」のイメージを教えていただくことで、見つかる共通点。
そこにお宿の未来を作るヒントが隠されているような気がしませんか?

宿泊者アンケートといえば「どのくらい満足できたか」を知るために行うのが一般的です(※満足度調査)。
しかし時には、上のような「理想の宿とは何か」を知るために行うというのもたいへん有意義なものです(※意識調査)。

アンケート制作時の1つの選択肢として、心の片隅に置いておいていただければ幸いです。