アンケートは「目的」ではなく「手段」
会議の場でよくある風景
「アンケートを取ってみましょう」
企業や学校での話し合いのシーン。
このアイデア自体はよく登場します。
でも意外と盲点なのが…
「なぜアンケートをとるのか?」
「アンケートをとってどうするのか?」
…という点。
これについては曖昧なまま話が進んでいるケースもけっこう多いものです。
そこで今回のテーマは「アンケートって、そもそもなんのために取るんでしたっけ?」です。
手段? 目的?
「ではアンケートを取ってみませんか?」
会社の会議にて。
アイデアマンのAさんからこんな発案があったとします。
それに対して、B部長が尋ねます。
「それはなんのために?」
この問いに対する返答としてもっともありがちなのはこんな答えでしょうか。
「それはお客様の声を集めるためです」
でも実は、これだけでは答えになっていないんです。
それは何故か、おわかりですか?
B部長が知りたかったのは「声を集めてどうするのか」だからです。
アンケートの実施は、あくまでも【手段】です。
ではアンケートの【目的】って何でしょうか?
「お客様の声を集める」は一見すると目的のように見えますが、最終目標ではありませんよね。
その先に必ず、企業が「やりたいこと」があるはずなんです。
もっと言うならば、それがなければアンケートをやる意味がありません。
「声を集める」
その先を考える必要があるんです。
認識の共有
アンケートを取る
↓
お客様の声を集める
↓
そしてどうする?
ここが重要です。
「アンケートを取ろう」と決まった会議の場に居合わせた人たち。
その全員が、この先に目的があることをなんとなくはわかっているんです。
でもはっきり言葉にしなければ、共通認識を持つことはできません。
認識がずれてしまいます。
関係者の認識がずれると、アンケートは効果を発揮できません。
目的をはっきりと言語化し、共通の認識を持つようにしましょう。
目的の言語化
それではここで、「声を集める」という行為を具体化しつつ、それぞれの目的を考えてみましょう。
以下は旅館アンケートの例です。
お客様が何に満足しているかを知る
→「こんな声をいただいています」とPRして販促につなげる
お客様が何に不満を抱いているかを知る
→サービスを向上させたり設備の増強をしたりする
最近提供を始めたメニューの評判を知る
→そのメニューの提供を継続するかどうかを判断する
自分たちでは気づくことのできない設備の細かな不備を知る
→設備の改善を行う
客層ごとのニーズを知る
→お客様の「属性」にマッチしたサービスを創出する
リピーターの方に質問し「何がリピートの理由になっているか」を知る
→一見さんのリピート率向上の施策を考案する
スタッフへの感謝の声を集める
→スタッフへフィードバックし、モチベーションの向上や人員の定着につなげる
お客様が旅先の宿にどんなことを期待しているかを知る
→「理想の宿」のビジョンを明確化し、スタッフ全員の意思統一を図る
本当の目的を見据えたアンケートを
このように「何を知り、何がしたいのか」に焦点を当てると、アンケートの「本当の目的」がはっきりしてきますね。
目的は色々あって、どれも正解です。
旅館やホテルが世の中にたくさんあるのと同じように、宿泊者アンケートの目的もお宿の数だけあることでしょう。
繰り返しになりますが、大切なのは「○○を○○するためにアンケートをする」と決め、関係者の間で共通認識を持つことです。
目的が漠然としたアンケートだと、どうしても漠然としたデータが集まりがちなものです。ご宿泊者アンケートを作る際は、まずはぜひ目的を明確化し、言葉で伝え合ってみてください。
良きアンケートができますように。