宿泊者アンケート「やりたいこと」別 設問設計
目的が変われば聞き方は変わる
「旅館 アンケート 例」
最近、こんな検索ワードで当サイトに来訪くださる方が増えています。
アンケート設問の制作には皆さん苦心されているようですね。
そこで今回、このようなテーマをご用意しました。
「宿泊者アンケート 目的別の設問例」
アンケートで実現したいことは、お宿によって異なると思います。
「やりたいこと」が違えばおのずと、設問(質問)の方法も変わります。
今回は、宿泊者アンケートの「目的」を分類し、それぞれどんな設問が効果的なのかを解説します。
宿泊者アンケート制作で苦労されている皆さんのお役に立てれば幸いです。
5つの目的
旅館やホテルなどの宿泊施設でのアンケート。
その目的は、多種多様です。
今回の記事を書くにあたり、アンケートの目的を大きく5つに分類しました。
まずはこの「5つの目的」を詳しく見ていきましょう。
1. 満足度調査
- 宿泊客様がどのくらい満足しているかを調べる
- スタッフに結果をフィードバックし、モチベーションの向上や振り返りに役立ててもらう
- 良い結果が出た場合は「満足度○%の宿」のような販促にも活用する
2. 業務改善
- 顕在化していない施設の問題点を「見える化」する
- ハード面(設備等)またはソフト面(教育等)の対策により、業務改善を行う
- その結果として顧客満足度を向上させる
3. 新サービスの創出
- お客様の潜在ニーズを掘り起こし、新しいサービスを発案する
- 費用対効果のバランスを考え、実現可能な施策を実施する
- その結果として顧客満足度を向上させる
4. 「喜びの声」の収集
- 生の声を集め、公式サイトに掲載する
-
SNSで紹介する
※いずれの場合もアンケート実施時の利用目的に明記する必要あり
5. 意識調査
- お客様が旅に求めているもの、宿に求めているものをヒアリングする
- その結果を踏まえて、お客様や社会のために宿として、また業界としてできることを模索する
こうして整理してみると、宿泊者アンケートでできることって、たくさんありますよね。
次の項目では、設問を作るときの「考え方」と「実際の例」をご紹介します。
目的別のポイントと設問例
それでは設問設計の考え方のポイントと実際の設問例を見ていきましょう。
満足度調査
【ポイント】
- 「食事」「入浴」など各セクションごとに満足度を尋ねること
- 最終的に数値化するため、回答は5段階評価にする
【設問例】
お食事(ご夕食・ご朝食)はご満足いただけましたか?
大浴場はご満足いただけましたか?
スタッフの対応はご満足いただけましたか?
総合的な満足度はいかがですか?
また泊まりたいと思いますか?
これらの設問を、それぞれ以下のような5段階評価で答えていただくようにします。
大変満足 / 満足 / どちらとも言えない / 不満 / 大変不満
別パターンとして「5」「4」「3」「2」「1」など、数字で尋ねる方法もあります。
しかし選択肢は数字よりも言葉の方が、しっかりと考えながら答えてくださる傾向にあります。
業務改善
【ポイント】
- 悪い点を指摘しやすい雰囲気を作る
- 悪い点を思い出してもらいやすい質問にする
- 選択式ではなく自由記入とする
1点目の「満足度を問う質問」との組み合わせが相性バツグンです。
各セクションの満足度を尋ねたあと、結びとして以下のような質問をします。
【設問例】
ご満足いただけなかった点につきまして、アドバイスがありましたらぜひお願いいたします。
「もっとこうなれば良いのに」ということがあればぜひお聞かせください。
当館は宿泊客様のご意見を糧としてさらに成長したいと考えております。ご指摘がありましたらぜひお願いいたします。
人にもよりますが、指摘事項を記載するのは抵抗を感じるものです。
「相手を嫌な気持ちにさせてしまわないか」と気になることがその原因です。
その一方で「人のためになる」と感じると、回答のハードルが一気に下がるものです。
指摘自体が宿のためになる(=激励)だととらえていただけるよう質問することが大切です。
新サービスの創出
【ポイント】
- 「上手な聞き方」でお客様のニーズを掘り起こす
- 「自分のアイデアが採用されるかも」というワクワク感をかもし出す
【設問例】
「館内にこれがあったらいいな」というサービスはありますか?
旅先の宿で「これがやってみたい!」ということは何かありますか?
お部屋への貸出品(ボードゲームなど)でご不便はありませんでしたか? ご要望があればぜひお聞かせください。
質問が具体的であればあるほど、意見が出やすくなります。
「いただいたご意見が実現できた際はメールにてご連絡させていただきます」
最後に、こんなふうに書き添えるのもオススメです。
「喜びの声」の収集
【ポイント】
- お客様の感動体験を呼び起こす
- 自由記入欄を設ける
旅先での宿泊体験はお客様にとって、非日常的で特別なものです。
きっとたくさんの感動体験をされていることでしょう。
でも、いざ聞かれるとなかなか出てこないもの。
そこで、お客様が感動した瞬間を思い出せるような質問を投げかけます。
【設問例】
お食事(夕食・朝食)はいかがでしたか?
お味、盛り付け、会場、BGM、など「ここが良かったよ」という点がありましたらぜひお聞かせください。
お部屋ではおくつろぎいただけましたか?
内装、景観、香り、音などお気に入りいただけた点があればぜひお聞かせください。
大浴場はいかがでしたか?
泉質、広さ、香り、設備、備品などお気づきの点があればぜひお聞かせください。
単に「良かった点を教えてください」とするのではなく、要素を散りばめてイマジネーションをかき立てます。
「そうそう、そこが良かったんだ」と思い出していただければ、お褒めの言葉も活き活きと躍り始めるはずです。
喜びの声を集める場合、1つだけ注意点があります。
WebサイトやSNSで活用したい場合は、あらかじめアンケート用紙に「利用目的」として明示しておくことです。
せっかく回答くださったお客様にご不快な思いをさせないよう、ここは押さえておきたいですね。
意識調査
【ポイント】
- お客様に「哲学」を語っていただく
- 宿が「何のために尋ねるのか」が伝わりやすいようにする
- 大きな設問なので、選択肢+自由記入がオススメ
【設問例】
お客様が旅行の宿泊先に求めるものはなんですか?
料理の美味しさ / 温泉の効能 / 部屋の良さ(広さ・眺めなど) / 料金(安さ) / 料金(高級さ) / その他( )
旅行全般を通して重きを置いていることはなんですか?
観光地めぐり(名所・旧跡) / 食事(名物・名店) / 自然の豊かさ / 施設(美術館・水族館・動物園等) / その他( )
※旅館用の設問
ホテルではなく旅館(当館)をお選びいただいた理由はなんですか?
ホテルにあって旅館にないもの、旅館にもあった方がよいと感じる要素はなんですか?
※ホテル用の設問
旅館ではなくホテル(当館)をお選びいただいた理由はなんですか?
旅館にあってホテルにないもの、ホテルにもあった方がよいと感じる要素はなんですか?
最後の質問について補足します。
お客様は、旅館とホテルをどのように使い分けているか。
意外と人によって答えがばらつきそうですよね。
これを探ることで見えてくるのは2つです。
■旅館用の設問
- 旅館にはないがホテルにあり、できれば旅館にもあるとよいもの
- 旅館にはないがホテルにあり、旅館にはなくてよいもの
■ホテル用の設問
- ホテルにはないが旅館にあり、できればホテルにもあるとよいもの
- ホテルにはないが旅館にあり、ホテルにはなくてよいもの
それぞれの2は「なくてよいもの」なので気にしなくても大丈夫です。
1については、お宿をバージョンアップさせるためのヒントとして押さえておくと良さそうですね。
「旅」や「宿」についてお客様が感じていることを広く聞き取ってみると、「施策」よりもさらにマクロな視点での発見があるかもしれませんよ。
発想のヒントとして
以上、5種類の目的別に設問の例を挙げさせていただきました。
最初にもお伝えした通り、お宿によって「知りたいこと」「集めたい情報」は様々です。
きっと上記の設問例をそのまま使えないケースもあることでしょう。
上の解説には考え方のポイントを併せて記載しておりますので、ぜひ応用してご活用いただければと思います。
貴館のアンケート設問作成時の「発想のヒント」になれば幸いです。
もしご宿泊アンケートの設問設計についてお手伝いさせていただける場合は、以下の「お問い合わせ」よりご連絡ください。
今回も長文に最後までお付き合いいただきありがとうございました!