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アンケート結果で「たったの2%」の意見を見過ごしてはいけない理由

満足度95%の商品が抱える「問題」

今回は宿泊者アンケートを少し離れ、一般的な商品アンケートのお話から始めてみます。

まずは、こちらのグラフをご覧ください。
どうお感じになりますか?

設問:「商品Aの満足度はいかがでしたか?」たいへん満足…60% 満足…35% どちらとも言えない…3% 不満…0% たいへん不満…2% 回答数:100名


「たいへん満足」と「満足」を足すと、実に95%。
これを見ると、大人気の商品であることがわかります。

そしてこの結果をもって「素晴らしい商品で何も問題はない」と結論づけることもできます。
でも、ちょっとお待ちください。注目していただきたい点があるんです。


「たいへん不満」を掘り下げる

注目したい点…それは「たいへん不満」という回答が2%あったということです。

使う人に喜んでいただくために作られた商品。
にも関わらず、100人の内2人が大きな不満を感じてしまった。

そう考えると、これはちょっと見過ごせません。

2%のお客様が「たいへん不満」と感じた原因はいったい何なのでしょう。
そしてその原因について、残りの98%の回答者はどう感じていたのでしょうか。

何も感じなかったかもしれません。
あるいは、不快に感じつつも、あえて「不満」を選ぶほどではないと思ったのかもしれません。

いずれにせよ、この部分(たいへん不満)を掘り下げることは、顧客満足度の向上を考える上で、とても大きな意味のあることなんです。

不満を抱えている女性


アンケート設問にひと工夫

商品Aの満足度はいかがでしたか?
  • たいへん満足
  • 満足
  • どちらとも言えない
  • 不満
  • たいへん不満


結局のところ、この5つの選択肢とその回答結果だけでは、不満の理由はわかりません。

でもあらかじめ設問にひと工夫しておくことで、ヒントを得ることができます。
たとえば上記の設問の直後に、こんな設問を続けてみてはいかがでしょう。

そのように回答された理由をご記入ください
(                    )

こんなふうにして自由記入欄を設けてみます。ちなみに回答は必須にはしません。
(自由記入欄が必須項目ですと、アンケート自体の回収率が大きく下がってしまうためです)

さて、上のような評価の理由を問う設問があることで、「不満の原因」を教えていただける効果が期待できます。

更に言うなら、その可能性は意外と高いんです。

なぜなら、大きな不満を抱えているお客様はほとんどの場合、それを吐露したいと考えているためです。
たとえば…知人に話したい。メーカーに伝えたい。レビューに書き込みたい、など。

その意味において、この自由記入欄は「気持ちをわかってほしい」というフラストレーションの受け口としての役割も果たしてくれています。

不満を抱く女性と、それを発散させてスッキリした女性

 

 

「原因」別の取り組み方

不満の原因(理由)がわかったら、対処が必要です。
そしてその対処は、どんな原因なのかによって異なります。

まずは、不満の原因が「使い方を誤って怪我をしてしまった」だと仮定しましょう。

これは一大事です。
他の消費者にも起こりうる事故です。
もしかすると他の方も既に危ない目に遭っている可能性だってあります。

使い方を間違えてしまったことが直接の原因だとしても、提供する側にも責任の一端があります。
商品を使用することで怪我を負うリスクが生じるとわかったならば、何かしらの対策が必要ですよね。
たとえば以下のような対策が考えられます。

  • 正しい使い方を、よりわかりやすく説明する図解を添付する
  • 使い方を誤った際のリスクを目立つように記載する
  • 怪我の原因となる部分(尖っている・重みがある等)を改良する

足首を怪我しているイメージ


次に、別の例を考えてみましょう。
不満の原因が、「色が好みでなかった」などの場合はどうでしょうか。

これは、さほど問題視しなくても良さそうです。
万人に好かれる色というものはありません。
どんな色であっても、ある程度の好みの差が発生するものです。

それでもあえて工夫するとすれば、色を選べるようにカラーバリエーションを増やす、などが考えられます。

以上のように「不満の理由」がわかれば、対策を練ることもできますし、そもそも対策すべき問題かどうかの判断もできるようになります。

自由記入欄というと、書く方にとっても受け取る方にとっても、少しハードルが高い気がしますよね。
でも上で見てきたように、とても大きな存在価値のあるものなんです。


データとココロで未来をつくる

アンケートを集計すると、その結果は厳然とした数字で表現されます。
おのずとこれは「客観的なデータ」として、私たちの目に触れることになります。

結果をデータとして見ることはもちろん大切です。

しかし忘れてはいけないのは、グラフの中のたった1%、たった1人でも、それは「回答された方が感じた気持ち」なのだということです。

回答者の方が1人でも「たいへん不満」と感じたならば、これをしっかりと受け止める。
そして可能ならばその理由を探り、改善につなげていく

既にある商品やサービスを、更に大勢の人に喜んでもらえるものに成長させていく。
これも、アンケートの大切な役割の1つだと考えています。

データから心をすくいとり、大切にするイメージ