分岐するアンケート~新規客とリピート客 質問したいことって 同じですか?
飲食店の珍しいアンケート
先日、ある飲食店に行ったときのことです。
何気なくテーブルに置かれているお客様アンケートで「これは」というものを見かけました。
一見すると、よくあるアンケートのように見えるのですが、何故か【2種類】あるのです。
よくよく見てみると「初めて来店したお客様用」と「再来店されたお客様用」に分かれています。
これはとてもよくできた工夫で、旅館やホテルの宿泊者アンケートにも応用が効きそうです。
今回は、飲食店のアンケートから得た発想を宿泊者アンケートに活かす。そんなお話をしてみたいと思います。
なぜ2種類あるのか
飲食店に置かれていたお客様アンケート。
そのアンケートはなぜ、あえて2種類あったのでしょう?
答えを探るためにはまず、「初めて来店したお客様」と「二回目以降のお客様」の違いを考える必要があります。
せっかくなのでここでは、旅館やホテルの宿泊客に置き換えて考えてみましょう。
初めて来館した宿泊客様
- 目に映るものすべてが初見
- 館内のどこに何があるかを知らない
- どんなスタッフがいるかを知らない
- 提供される料理の味も、待ち時間を知らない
- お風呂の広さ、新しさ(古さ)、見晴らしを知らない
つまり初めてのお客様は、設備、接客、環境すべてが未知数のまま(ときには小さな不安を抱ええつつ)訪れます。
来館が二回目以降の宿泊客様
- 前に来たことがあるので良さを知っている
- その良さを味わいたくて来訪している
- 前回との違いを比べることができる
- (初見の方を連れてきた場合)その方にも良い体験をしてもらいたいと思っている
- できることなら前回を上回る体験がしたいと思っている
設備、接客、環境についてはご存知です。その上で1回目以上の体験を期待されている場合もあります。
ざっと挙げただけでもこれだけの違いがあります。
さて、ここで更に考えてみましょう。
それぞれのお客様に私たち(アンケートを実施する側)が「聞きたいこと」は同じでしょうか。
「聞きたいこと」を考えてみる
初めてのお客様
たとえば、初めて来館した宿泊客様にはどんなことを聞いてみたいでしょう。次のようなことが考えられます。
- 旅館(ホテル)までの道のりはわかりやすかったですか?
- 駐車場は停めやすかったですか?
- チェックインはスムーズにできましたか?
- お部屋の雰囲気は快適でしたか?
- 大浴場までの道順は迷いませんでしたか?
- 料理で特に気に入ったものはなんですか?
- 料理でお口に合わなかったものはなんですか?
-
スタッフの雰囲気はどう感じましたか?
(選択肢例:話しかけやすい 安心感がある プロ意識を感じる、等) - また泊まりたいと思いますか?
- それはなぜですか?
どの質問も、リピーターの宿泊客様にするのとは意味が異なります。
何でもそうですが「初めて体験したとき」にしか気づけないことがあります。
旅館への道のりは、1回目は迷っても、2回目以降は慣れたもので「まあ、こういうもの」と思ってしまいがちです。
料理の味も、1回目の驚きや感想は1回目でなくては入手できません。
そして何より「また泊まりたいと思う理由」は旅館にとっては何にも代えがたい財産になるはずです。
後述しますが「また泊まりたいと思う理由」と実際に「また泊まりに来た理由」は意味あいが異なります。
2回目以降のお客様
それでは、再度来館された宿泊客様にはどんなことを聞きたいでしょう。
たとえばこんな例が考えられます。
- 前回のご来館はいつ頃でしたか?
-
ご宿泊の目的はなんですか?
※選択肢例:観光・登山・ゴルフ・仕事など - 今回も当館を選んでくださった理由についてお聞かせください
- 普段、お宿を選ぶ際に重視されるポイントは何ですか?
- また泊まりたいと思いますか?
- それはなぜですか?
言うまでもなくリピーターのお客様はとても重要です。
そしてやはり気になるのは「どのくらいの頻度でリピートしてくださっているか」「なぜリピートしてくださっているか」です。
- ゴルフ場が近くゴルフの後に泊まるのに(疲れを癒やすのに)ちょうどいい
- 登山したあと温泉につかるのが習慣になっていて、食事も美味しいから
このようにリピーター様の具体的なストーリーがうかがえると、同じような体験を求めている方々へ訴求するサービスが作りやすくなります。
「今回も当館を選んでくださった理由」は、前回の「また泊まりたいと思う理由」と呼応します。
しかし泊まった直後、同行者に「また泊まりたいね」と漏らす感想と、何ヶ月かが経ったあと「あそこにまた泊まりたい」という強いモチベーションになる思いは一致するとは限りません。
前者は顧客満足度を上げ、後者はリピート率を上げます。どちらも大切ですが、意味合いが違う以上、アンケートの集計としては分割されている方が有効です。
上記の質問例。最後の2問は「初めて来館した宿泊客様向け」と同じです。
しかしここで注目したいのは「再来訪したけれど、また泊まりたいとは思わない」という意見、そしてその理由です。
2回泊まってくださったからには、「また来たい」と思う理由があったはず。そして実際に来てくださったのに「もう来ない」と思うとすれば、そこにはかなり大きなネガティブ要因があったはずです。
あまり聞きたい話ではないかもしれませんが、いつの間にか足が遠のいてしまうお客様が密かに抱いている思いは、なかなか得られるものではありません。
絶好の機会と考え、積極的に受け止めていきたいものです。
参考:コラム「ネガティブコメントの上手な受け止め方」
Webアンケートだからこそできること
アンケートを2つに分ける意味あいについてはご理解いただけたでしょうか。
とはいえ、1つ気になる点がありますよね。
アンケートが2種類置いてあるのは、宿泊客様の負担にならないか?
旅館やホテルのお部屋に紙のアンケートが2種類置いてある姿を想像してみます。たしかに、これは少し圧迫感があるかもしれません。
そこでご提案したいのがWebアンケートです。
Webアンケートであれば簡単に負担なく実現できます。

たとえばこのように二次元バーコードを印刷したカードが置かれているだけです。これを読み込んでアンケートを開始。最初の質問はこのようにします。
「初めてのご来館ですか?」
この選択肢の結果によって、その後のアンケートの設問を変化(分岐)させればいいんです。お客様に「2種類ある」ということを意識させることなく、分岐された質問の答えを手に入れることができます。
これなら宿泊客様への負担は少ないですね。
Webアンケートの良さは色々あります。
その中でも選択肢によって枝分かれさせられることは大きな魅力の利点の1つです。
Webだからこそできるきめ細やかなアンケートは、旅館やホテルの宿泊者アンケートを変えていくポテンシャルを持っているのでは、と常々思っております。
紙アンケートのWeb化にご興味がありましたら、下記お問い合わせよりお気軽にお声がけください。